2021/12/3
劣化診断と長期修繕計画について
マンションでは、将来の大規模修繕工事にそなえ、修繕積立金を蓄えています。その修繕積立金の現在の価額が適切かどうかを確認するためにも劣化診断と長期修繕計画が必要となってきます。

劣化診断を行うことにより、マンションの現状を知り、いつごろ大規模修繕すべきかを判定します。
長期修繕計画は、通常、今後30年間(以前は一般的に25年間)の修繕工事を各部位ごとに工事費と修繕周期を定めるとともに、それに要する修繕積立金を重ね合わせて比較検討するものです。

要するに、今後30年間に要する工事費が現在の修繕積立金で満たされているかどうかを検討するものです。
30年先の工事費を現在の工法に基づき、算定することとなりますので、当然、将来の工事費が計画通りの工事金額になるとは限りません。概ねの工事金額が現在の修繕積立金で満たされるかどうかを検討するに過ぎません。どんなに精緻な長期修繕計画を作成しても、実際の工事金額とはズレが生じてきます。

これは、大規模修繕工事を行うに当たって、「設計監理方式」を導入し、見積書を入手した際に、同じ仕様書でありながら、2割、3割と見積金額が異なってくることからも明らかです。

従って、長期修繕計画は、大規模修繕工事の前後に改めて見直すことが必要です。以前は5年程度ごとに見直すことが国のガイドラインにありましたが、現在は、7年程度に変更になっております(5年を過ぎたら1〜2年かけて見直す)。

見直すに当たっては、財団法人マンション管理センターの様式に基づく方法のほか、独立行政法人住宅金融支援機構からも無料のソフトが提供されているので(サンプル1500件)、それらを利用するほか、そのマンションにあった独自の計画(そのマンションの過去の修繕履歴に見合った工事費や新たに部位ごとに業者から見積もりを入手する方法のほか財団法人経済調査会の発行している「マンション修繕費用」などを利用することが考えられる)により、作成することが適切です。

いずれにしろ、そのマンションの実態にあった手法で大まかに今後30年間の修繕工事費とそれに見合う修繕積立金をどのように確保していくかを考えていくことが必要です。大まかな計画と言えど、あまりに現実とかけ離れた計画を作成することは、何の役にも立たないというより、無用な混乱を生じさせます。

各マンションにあっては、是非、ご自身のマンションにあった長期修繕計画をご検討ください。



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