2022/11/2
区分所有法改正案の検討について
現在、国においては、区分所有法の改正が検討されている。
これは、マンションの老朽化対策のためである。
マンションの老朽化対策のために現行制度では、
@建物を解体して新しく建て直す「建替え」
A敷地を含めて売却し所有者に資金を分配して再生する「敷地売却」

上記の2つの手法がある。

これに、3番目として
B専有部分の骨格を変えずに内外装や設備、間取りなどを変える「大規模改修」が検討され始めたと言いうことです。

要するに、従前の屋上防水や外壁塗装などの「共用部分」に対する大規模修繕に加え、専有部分も同時に大幅にリノベーションするということです。

政府は、既に建て替えの要件を現行の「5分の4」から「4分の3」などに下げる案を提示済みであるが、さらに専有部分のリノベーションも含んだ「大規模改修」を「5分の4」などでできるように改正(建て替えの要件が4分の3でできるようになれば「4分の3」も検討)するというものである。

現行上、エレベーターや廊下、外壁などの共用部分だけの修繕の要件は「過半数」又は「4分の3」を必要とするが、これに個人が所有する「専有部分」を含めた「大規模改修」をするとなると全員の賛成が必要となる。

共用部分のみの修繕工事の場合は、毎月徴収する「修繕積立金」で対応しているマンションが大部分であるが、専有部分も含んだ「大規模改修」のための積立金に対応している管理組合は殆どない状況である。

建物の骨格を残す大規模改修は、建替えより工事金額を抑えることができる。建て替えの場合、所有者1世帯当たりの平均負担額は1100万円ほどと言われている。要件の厳しさや資金面の問題で全国の建替え件数は、国交省によると2021年度は7件しかなかったと言われている。

建築技術が高度化した現在においては、耐震補強も可能である。所有者が決断しやすい手法を法律的に整備することが必要であり、「大規模改修」は、この意味においても画期的と考えられる。

但し、「要件の緩和」だけでは不十分である。国交省によれば、共用部分のためだけの「修繕積立金」だけでも計画通りに積み立てられていないマンションは35%に達していると言われている。

要件が緩和されても資金がなければ住民(組合員)の合意を得ることはできない。
その意味で、今後、補助金や税制優遇の支援も必要となってくると考える。
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