2022/6/30
マンション所有者不明分を管理組合決議から除外案
日本経済新聞2022年6月29日付朝刊にマンション所有者不明分を「管理組合決議から除外する案」が国において検討されている旨の記事が掲載されていた。
とてもショックを受けた。
というのも、現状の課題の核心をついていたからである。

現状、築50年近い都心部の投資型マンションやリゾートマンションなどでは、新築時の所有者の移転が大きく進んでいる。

この場合、登記上の所有者が亡くなっていても、相続登記がなされず、そのままの状態が続いているものも少なくない。

地方における所有者不明の土地と同様な状況がマンションにおいても起きているのである。

総会の案内を出しても「宛所に尋ね当たらず」で返送されてくる例も珍しくありません。

これを放置しておくと、先ずは、管理費等の滞納が起きます。これらは、将来の大規模修繕工事の大きなネックとなってきます。管理組合運営ができなくなります。

その前に、もっと大きな問題ですが、建物の形状変更を伴うような修繕工事は、4分の3以上の賛成が、建替え決議や敷地売却決議は5分の4以上の賛成が必要となります。

この場合に問題となるのは、これを計算する際の分母です。分母には当然、上記の所有者不明分も含まれます。
分母には含まれ、分子には所有者不明で含むことは出来ませんので、この決議を得るのはさらに困難になることが予測されます。

現在、国ではこの所有者不明分を分母から除外することが検討されているようです。
新聞を読みますと、除外するには、裁判所の関与も必要となってくるとの結論でした。

財産に関わる非常に重要な判断となりますので、裁判所の関与も必要となってくると考えますが(弁護士さんへの依頼が必要となってくる)、早期の対策が必要であることは当然です。
場合によっては、老朽化した今後のマンション問題を取り巻く最重要課題かもしれません。

今後の国の動きに注目したいと考えます。
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